2018.06.15相模原ライフ子育てママ必見!相模原の教育事情 vol.3
こんな取り組みおもしろい!幼稚園特集 Vol.3
「ここまでやるんですか!」 これは、私立幼稚園「相模ひまわり幼稚園」と「うのもり幼稚園」への取材を通して感じた感想です。子どもたちに対する愛情の深さが、とにかく行動量として表れている2園でした。今回の幼稚園特集も、「これは面白い!すごい!」と思う取り組みを編集部独自に取り上げご紹介します!
■ 相模ひまわり幼稚園
親と先生が紡ぐ"未来へのラブレター"。子どもたちへの1冊
「常に子どもを中心に据えて教育を実践する」という方針のもと、相模ひまわり幼稚園では、20年ほど前から取り組み始めたことがあります。
それは、「ひまわりノート」です。
ここには、「うちの子は、幼稚園で何をして過ごしているんだろう?」と、保護者がもっとも気になることが、担任の先生の言葉でつづられています。
どんな言葉を発したのか、何をして遊んだのか、園児1人ひとりの成長の記録を、先生が毎日書き留めているのです。反対に、そのノートを受け取った保護者もまた、2週間に1度のペースで、家での我が子の様子を記して先生に返します。
1人の先生が、20人以上の園児の様子を記録するわけなので、これはかなりハードなお仕事です。1人あたり3分使ったとして、1日1時間以上を費やさなくてはいけません。
どうしてここまでできるのでしょうか?園長先生に理由を訊ねると、こんな答えが返ってきました。
園長先生「私たちはこのノートを、子どもたちに対する“未来へのラブレター”と捉えています。『大きくなったあなたへ』という手紙を書いているのです。いわば、ペン先からほとばしる愛情を伝えているわけです。ですから、大変な仕事ではあっても、言葉でしっかりと日々の様子を記録しておくのです。子どもたちが大きくなり、ひまわりノートを見返したとき、幼い頃の思い出はもちろん、いかに自分が多くの人たちから愛されていたかが分かるでしょう。それは、本人の根っこを支えてくれるものにもきっとなり得ます。」。
- 立腰(正しい姿勢)をする子どもたち。心と体の健やかな成長のために行われる習慣です。
- お腹から発声する練習をしています。ただ大きな声を出せばいいのでありません。例えば「お母さん」と呼びかけるときは優しいトーンなどと、歌を通して声色の使い方も学んでいきます。
成長の記録は1枚ずつ大切にファイリングされ、「1年に1冊」というペースで出来上がります。そして卒園時には、3冊の「ひまわりノート」が渡されるのです。
まさに、保護者と子どもたちにとっては“一生の宝物”。実際に、子どもが卒園した10年後、20年後も、本人やご家族からの反響はとても大きいようです。
食べられことに感謝できる子どもへ育ってほしい
もう1つ、お話を聞く中で面白いなと思った取り組みをご紹介します。
それは、「食」に対する取り組みです。
同園では、子どもの昼食はお弁当が基本です。給食はありません。それは、お弁当を通じて「お母さんを感じられる」から。お母さんが作る食事には、子どもの心を育てる上でも大きな意味があるというのです。
園長先生「幼稚園の弁当給食というのは、業者が作ったものをプラスチック容器に詰めてあるのが現状です。お弁当を毎日作るお母さんは大変でしょう。けれども、子どもの健康が考えられた愛情こもったお手製弁当は、子どもの心身の成長にとても大切な役割を果たしているのです」。
また、月に1度、先生も子どもも昼食にシンプルな「塩にぎり」を1ついただく「粗食の日」も設けています。世界には、おにぎり1つも食べられない子どもがいます。食べられない子どもたちにも思いを馳せながら粗食をいただくことで、「食べられることに感謝する心」を育むことが目的なのだそうです。
同園では、「先生たちの背中を子どもたちに見せていく」ことが教育のモットー。先生みずからが子どもたちのお手本であるために、“人財教育”に力を入れていることは、取り組みを拝見していてもよく伝わってきました。
保護者からの声
・普段は目にすることのできない、園での子どもの様子が分かり、「ひまわりノート」をいつも楽しみにしています。特に、忙しくて子どもたちとの時間がなかなか取れないパパは、私以上に楽しみにしています。園での出来事を親子でいろいろと話すことができ、パパも子どもも嬉しそうです。
・卒園して5年ほど経つ娘は、今は反抗期の真っただ中です。けれども、ひまわりノートを読み返すと記された出来事が昨日のことのように思い出され、私自身「よし、頑張ろう!」と思えるのです。これは私にとっても宝物ですが、子どもたちが大きくなったら、渡そうと思っています。
・1人ひとり違うお弁当だからこその楽しみがあったようです。お友達のお弁当に刺激を受けて「同じものにして!」などいろいろなリクエストがあり、私自身も楽しみながら作ることができました。それに、普段は苦手な野菜も、お弁当に入れると全部食べてくれるのが嬉しかったです。
※園独自のアンケート調査より一部抜粋
≪相模ひまわり幼稚園の概要は園のホームページをご覧ください≫
http://www.s-himawari.jp/
■ うのもり幼稚園
先生と保護者で作り運営する「ツリーハウス」とイベントの数々
立派な木々に囲まれた園内に足を踏み入れると、ツリーハウスがまず目に飛び込んでくるうのもり幼稚園。子どもの頃に憧れていた”秘密基地”さらながらのその場所では、子どもたちが目を輝かせて遊んでいる姿が印象的です。
子どもの遊びは、心の豊かさにつながっていく。生活の豊かさにつながっていく。
そういう考え方をベースに、同園では「とことん遊ぶ」環境を整えることにこだわっています。
園長先生「ツリーハウスしかり、お店屋さんごっこでも何でも、時間が来たから終わりではありません。遊びを通して、いかに子どもたちの『やりたい』という自主性を伸ばしてあげられるか。先生たちはそれをいつも考えています。『やりたい』を実現するために自分で考える。それが子ども本来の世界なのだろうと思うからです」。
ちなみにツリーハウスは、16年前に園長先生の発案をきっかけに作られました。子どもたちが思い思いに描いたツリーハウスを参考にしながら、園長先生と園児のお父さんが中心となって活動している「親児(おやじ)の会」のみなさんで、一緒に作り上げていったそうです。
- 園児みんなが、元気よくのびのびと存分に遊ぶ姿が印象的でした。とにかくみんなの目が輝いている!
- ツリーハウスに作り付けられた雲梯で、園児が腕前を披露してくれました!
「親児(おやじ)の会」では現在、ツリーハウスの補修とともに、年に6回ほど親子で季節を楽しむイベントを企画・運営しています。
バームクーヘンを作ったり、屋上にプールを組み立てたり、キノコご飯を炊きサンマ200匹ほどを焼いて秋の実りに感謝したり、クリスマスリースを作ったりと盛りだくさん。
そうすると、やはり保護者同士がとても仲良くなり、結束力が強くなるので、子どもたちにもいい影響があるようです。自分の子どもと他の家庭の子どもに対して、大人が分け隔てなく応援できる空気がおのずと作られる。子どもにとってはたまらなく嬉しい環境と言えます。
「図書コーナー」には、約3,500冊もの絵本がぎっしり
同園の取り組みで、もう一つ「すごいな!」と驚いたのが、創立以来力を入れてきたという絵本に親しむ保育です。
現在、同園には約3,500冊近くの絵本が蔵書されており、子どもたちは図書コーナーで自由に絵本が読めるほか、貸出もおこなっているため家に持ち帰って読むこともできます。それに、お昼を食べた後とお迎え前には、先生が絵本を必ず読み聞かせしてくれるのが日課だそうです。
もともとは、前園長が自宅を図書館のように開放していたことがはじまりでした。絵本の読み聞かせをとても大切にし、子どもたちと一緒に絵本を作ったこともあったそうです。
この精神は、保護者たちからもとても大切にされています。お母さんたちの絵本の読み聞かせサークル「がらがらどん」まであり、普段から読み聞かせの練習も熱心になさっているとか。
ちなみに、絵本の読み聞かせで一番大切にしていることは、子どもの想像力を邪魔しないこと。そのためにも、抑揚をつけない、感想は聞かない、説明はしないという3点は、読み聞かせのもっとも基本的なポイントなのだそうです。
●保護者からの声
・「たくさんの目」で見守ってくれる安心感があります。今まで気付かなかった子どもの好きや興味を見つけ、親と一体となって良さを伸ばしてくれる素敵な幼稚園です。
・うのもり幼稚園の先生方は、うまく自分の気持ちが伝えられない子どもに寄り添い、じっくりと待ってくださいます。みんなと並んで歌えない、踊れない息子にも、「やりなさい」ではなく、やりたい気持ちはあるけれど、参加できない気持ちを見つけてくれる。やる気の糸口を見つけ、いつの間にかみんなの輪の中にわが子がいる。そんな幼稚園です。
・いくつか幼稚園を見学した後、子どもに「行くならどこにしたい?」と聞きました。すると「ツリーハウスのあった幼稚園、ご本がいっぱいあった幼稚園!」という答えが返ってきました。母の表には出さない想いは、見事に息子と同じでした。
※園独自のアンケート調査より一部抜粋
≪うのもり幼稚園の概要は園のホームページをご覧ください≫
http://www.unomori-youchien.com/
「ひまわりノート」やツリーハウスは、両園の取り組みのほんの一部にしかすぎません。けれども、それでも十二分に子どもたちにかける思いが伝わってきました。冒頭にも書きましたが、「ここまでやるんですか!」というのが正直な感想です。「こんなに大切にされていたんだ」と、子どもたちの自信にも先々きっとつながるのでしょう。親と先生方の、子どもたちに対する愛情の深さが、とにかく行動量として表れていた2園でした。